毛がに
内浦湾は、太平洋の早い潮流が湾内に流れ込み、栄養豊かで魚介類が成育するのに最適な環境となっています。そのため、古くから魚族の豊富な漁場として知られ、浜辺ではホッキ貝やカレイなどが獲れます。
今は獲れる量も少なくなりましたが、当時の毛がには魚ほどの商品価値もないほど獲れ、漁ではむしろやっかいものだったといわれます。
馬車の時代から長万部は陸上交通の要衝となっていましたが、明治36年の鉄道開通を機に、それまでの旅や荷物等の運搬は飛躍的な伸びをみることになります。
特に、函館本線・室蘭本線に続き、瀬棚線(現在は廃線)が開通した昭和7年以降は鉄道分岐点として長万部は重要なポイントとなり、乗り継ぎや待ち合いの人々が駅舎にあふれ、町は次第に活気づくとともに、分岐点としての役割から長万部の名も多くの人に知られるようになります。
戦後の北海道は食料基地としての需要から多くの人が鉄道で訪れるようになりますが、食糧難の時代でもあり、旅は相当に苦しいものであったに違いなく、分岐点の長万部駅にも空腹を満たせない人々が列車を待つ列を作ったといいます。
しかし、お米はなくても長万部には豊富に獲れる毛がにがありました。
ゆでただけの毛がにでしたが、貴重な食料として当時は大変な人気を得ていたといわれ、長万部名物の毛がにはこうして全国に伝えられていったのです。
(旧観光パンフより)
毛がにの収獲時期 6月中旬〜下旬